2019/09/03
遺産の総額が同じでも法定相続人の数によって相続税の金額が違ってきます。
この「法定相続人」とはなんでしょう。
法定相続人とは
法定相続人とは、法律(民法)で定められている相続人になれる人のことです。
亡くなった方が結婚していれば、その配偶者(夫または妻)は必ず相続人となります。
子供がいれば子供が、いなければ亡くなった人の親が相続人になります。
子供もいなくて、親も亡くなっていれば兄弟が相続人になります
相続順位
相続順位 |
|
配偶者 |
配偶者は常に相続人になります |
第一順位 |
子供。子供が亡くなっていればその子供(孫) |
第二順位 |
両親。亡くなっていればその親(祖父母) |
第三順位 |
兄弟姉妹。亡くなっていればその子供(いとこ) |
第一順位から順に相続人となります。
例えば、亡くなった人の奥さんはずいぶん前に亡くなっていて、子供が一人いるという場合は、相続人はその子供のみとなります。
相続税の計算にどうかかわるのか
法定相続人の数が相続税の計算に関係するのは次のものです。
基礎控除額
これ以下なら相続税がかかりません、という金額です。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
例:法定相続人が、奥さんと子供2人の場合
3,000万円+600万円×3=4,800万円
この場合で財産が1億円あったとすると、
1億円-4,800万円=5,200万円 … この5,200万円に対して相続税がかかります。
生命保険金の非課税金額
相続人が受け取った生命保険金は非課税になる部分があります。
500万円×法定相続人の数
この金額までなら受け取った生命保険金に相続税はかかりません。
上の例でいうと
受け取った保険金が500万円×3=1,500万円以下であれば相続税はかかりません。
もし、5,000万円の生命保険金を受け取っていれば、
5,000万円-1,500万円=3,500万円は相続財産となります。
相続税の計算
相続税は、財産の総額から基礎控除額を引いた金額に対してかかります。
(課税遺産総額といいます)
もう少し詳しく言うと、この課税遺産総額をいったん法定相続分で相続したとして、相続人各人の相続税を計算します。
複数の相続人のうちの一人がすべて相続したとしても、ここでは法定相続分で相続したと仮定して計算します。
この「法定相続分」は、相続人が誰かによって異なります。
相続人 | 法定相続分 |
配偶者のみ | 全額 |
配偶者と子供 | 配偶者1/2 子供1/2(子供が複数いる場合は1/2を頭割りします) |
配偶者と親(または祖父母) | 配偶者2/3 親1/3(両親健在なら1/3を半分ずつ) |
配偶者と兄弟 | 配偶者3/4 兄弟1/4(複数いる場合は1/4を頭割りします) |
親のみ、兄弟のみ | 全額を頭割りします |
例:法定相続人が、奥さんと子供2人で財産1億円の場合
基礎控除:3,000万円+600万円×3=4,800万円
課税遺産総額:1億円-4,800万円=5,200万円
各人の相続財産:
妻 5,200万円×1/2=2,600万円
子ども① 5,200万円×1/2×1/2=1,300万円
子ども② 5,200万円×1/2×1/2=1,300万円
この各人の相続財産に対して、それぞれ税率をかけて計算した金額を合計した金額が相続税の額になります。
まとめ
遺言書があれば、遺言書の指定通りに財産を分けますが、ない場合には法律(民法)の指定で、相続人と相続額が自動的に決まります(法定相続人と法定相続分)。
遺言書がなくても配偶者は必ず相続人になりますが、これは法律上の配偶者の場合で、事実婚(内縁関係)で籍を入れていない場合には夫婦同様に生活していても相続人になることはできません。
内縁関係に人に財産を残すなら、遺言書がないとできません。
法定相続人以外の人に財産を残したい場合には、遺言書の作成を考えましょう。
☆★☆★編集後記☆★☆★
昨日北海道のガイドブックを見ていて、旭川の「雪の美術館」を見つけました。
昨年の「アナと雪の女王」の影響で来館者急増というニュースで知ってはいましたが、今年はどうでしょう。
ブームも去ったので、混んでいないことを期待して、コースに入れようと思います。